ぬくぐるみ製品のお手入れ~ぬいぐるみのお洗濯やパイル生地のおはなし~

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こちらでは、ぬくぐるみ工房のオーガニックコットン100%のぬいぐるみのお手入れ方法についてご案内いたします。 コットン素材のぬいぐるみのお洗濯の仕方や、ループパイル生地に起こりがちなパイル糸抜けについてまとめました。

  1. ぬくぐるみのお洗濯
     ぬくぐるみ工房のぬいぐるみについて
     洗濯をする前の注意点
     洗濯時の注意点
     洗濯の仕方
  2. パイル生地の糸が飛び出してしまったら
     パイル生地ってどんな素材?
     パイルの糸の飛び出しはどうして起こるのか
     パイル糸の切り方
     パイル糸を切りたくないという方向け

1.ぬくぐるみのお洗濯

◆ぬくぐるみ工房のぬいぐるみについて

ぬくぐるみ工房のぬいぐるみは、生地だけでなく、縫い糸・刺繍糸・布タグ・中わたなど全ての素材にオーガニックコットンを使用しています。
(ポリエステルわたを使用している製品もありますので詳しくは各商品ページの素材欄をご覧ください)

天然素材であるコットン素材は、ポリエステルなどの化繊素材に比べ、吸水性が高いため洗濯をすると乾きづらいという特徴があります。
さらにぬいぐるみは中にわたが入っていますので、さらに乾くまでかなりの時間がかかります。
そのためタオルのように毎日洗うことは出来ませんので、基本は、表面の生地を水で濡らして固く絞った布地で優しく拭くことをお勧めしています。
また天然のコットンわたは日干しをするとふっくら復元するという特徴がありますので、お布団を干す際に一緒に日干しをして乾かすことをお勧めしています

※中綿が多い製品・仕様が繊細な製品は洗えません。すべての製品が洗濯できるわけではございませんのでご注意ください。
詳しくは各商品ページの注意点をご覧の上、洗濯不可の製品のお洗濯はお控えください。

◆洗濯をする前の注意点

オーガニックコットンは、漂白剤や有害な染料を使用しないため、日光や洗濯により、色性が変化いたします。
また、洗濯により形状や生地の質感・色性が変わります。
ぬいぐるみに使用している素材は第三者検査機関にて堅牢度の検査をおこなっておりますが、
化繊素材・化学染料に比べ、天然素材や天然染料の堅牢度が低いということをご理解ください。
購入したままの形状・質感をご希望の場合は、汚れたところを「水で濡らして硬く絞った布地」で優しく拭き、日干しのみでお手入れされることをお勧めしております。

上記をご確認の上よろしければお洗濯へお進みください。

◆洗濯時の注意点

染色していない原綿そのままのぬいぐるみ
・洗濯の際は必ず洗濯ネットに入れてください。
・お洗濯の際は中性洗剤をお使いください。(※1)
・蛍光増白剤入りの洗剤や塩素系漂白剤を使用しないでください。
一般の洗濯洗剤にも漂白剤が入っている商品がありますのでご注意ください。
・濡れたまま長時間放置しないでください。必ず脱水をし洗濯後はすぐに日干しをしてください。
・手洗いだけですとすすぎや脱水が完全に出来ず、長時間濡れたままの状態になります。
避けていただくか洗濯機にてすすぎや脱水を必ずおこなってください。(※2)
・洗濯機の種類により洗濯時の水流の強弱、脱水時や乾燥機の強弱が異なります。
洗濯機によっては生地が荒れ傷つくことがございますのでご注意ください。
・洗濯するごとに生地感が変わってきます。
・洗濯が完了したばかりの時には中のわたがかなりへたっています。
速やかに日干しでよく乾かしてください。
・中まで乾いていないと変色やカビの原因となりますので十分にご注意ください。
乾く時間は季節や地域により異なります。東京都練馬区での洗濯実験の結果はこちらを参考にされてください。
・汚れやシミがついたまま洗濯をしたり水拭きをすると汚れが広がります。
汚れやシミが付いた場合はお洗濯はお控えの上、専門業者に必ずご相談ください。

草木染めのぬいぐるみ
草木染め製品は上記の注意点に加え、下記にもご注意ください。
ぬくぐるみ工房の草木染めシリーズの製品は全て天然染料のみを使用し手作業で染色しております。
天然染料は、化学染料と違い、色変わりいたします。天然染料の特徴として、ご理解の程お願いいたします。
・洗濯は可能ですが、色変わりいたしますのでご理解の上、お洗濯をお願いします。
・アルカリや酸に弱いので、お洗濯の際は中性洗剤をお使いください。(※1)
・漂白剤は絶対に使用しないでください。一般の洗濯洗剤にも漂白剤が入っている商品がありますのでご注意ください。
・天然染料は長時間の日光照射に弱く、変色しやすいものです。お洗濯後は日陰干しをお勧めいたします。
・日光のあたる窓際などに置いておくと片面のみ色が変わることがございますのでご注意ください。

※1 ぬくぐるみ工房では、中性洗剤の他に、弱アルカリ性の洗濯洗剤「エコベール」や弱アルカリ性の竹炭の洗濯洗剤「バンブークリア」(エシカルバンブー社製)などを使っています。
特に竹炭の洗剤は、泡が立たないので、すすぎ残しの心配が低くすすぎも少なく済むことから肌や環境に優しいという特徴があり、ベンガラ染めの仕上げや草木染めのぬいぐるみのお洗濯にも使用しております。
なお、全ての弱アルカリ性の洗剤が問題ないということではございませんのでご注意ください。
エシカルバンブー社の製品についてはこちら

※2 ぬくぐるみ工房では手洗いを勧めておりません。
理由は、以前お客様から、「手洗いで洗濯をして浴室に干したら、いつまでも乾かずに茶色く変色した」というご連絡をいただいたことでした。
検査機関でこの変色したぬいぐるみを詳しく調べた結果、表面の茶色く変色した部分には洗剤が大量に残って付着しており、
すすぎ不足でぬいぐるみの表面に残った洗剤が、長時間濡れた状態で浴室乾燥の温風に当たり続け、少しずつ変色していったことがわかりました。
変色しているのは洗剤部分なので、再度洗濯機で洗濯をすることで白く戻りましたが、手洗いでのすすぎや脱水は個人差がとても大きいということがわかった事案でした。この事案では脱水不足は変色の原因ではありませんが、長時間水が滴るほど濡れた状態で乾燥してはやはり変色やカビの原因になります。
また仮に洗剤が変色しなかったとしても、洗剤が生地に残ったままでは、肌にかゆみやかぶれを引き起こす原因となり大変危険です。
そのため形状は崩れてしまいますが、すすぎや脱水をしっかり行っていただくために、ぬくぐるみ工房では洗濯機でのお洗濯をお勧めしております。
手洗いをした場合でも、すすぎと脱水は洗濯機でおこなうようにしてください。
どちらにいたしましてもお洗濯をするごとに風合いも形状も変わります。十分ご理解の上おこなってください。

◆洗濯の仕方

洗濯をすると形状も質感も大きく変わります。
くたくたになって生地感も変わったぬいぐるみも愛着があって可愛いものだなあ♪と思っていただける方のみ、お洗濯をしていただけたらと思います。
お洗濯はあくまでも自己責任の元におこなってください。

1.ぬいぐるみを洗濯ネットに入れて洗濯機で洗います。

洗濯機の種類及び洗剤の種類により洗濯方法が異なります。お使いの洗濯機や洗剤の説明書をご確認ください。
すすぎ・脱水がしっかりできるコース(すすぎ2回など)を選んでください。
洗剤残り(すすぎ不足)、脱水不足は変色の原因になりますので十分にご注意ください。
脱水の際、一度取り出してタオルにくるんでから洗濯ネットに入れるとさらに良いでしょう。(脱水の回転の刺激が強いため)

2.洗濯機から出した直後はこんな感じでぬいぐるみが縮こまっています。

3.濡れている状態の時に形を整えましょう。
ポンポン優しくたたいてパイル糸が固まらないようにすると乾燥した時のごわごわをおさえられます。

4.日干しをします。洗濯ばさみが当たる部分に当て布をして跡が残らないようにしましょう。

5.日没までに取り込みましょう。

6.必要に応じて浴室の乾燥機能や乾燥機で乾燥をおこなうと安心です。
 ※ちなみにこのうさぎさんのお洗濯をしたのは2020年3月11日。快晴でしたがまだまだ春先なので念のため浴室での乾燥を2時間おこないました。
乾燥にかかる時間は場所・季節・日照時間・気温・湿度などにより異なります。
東京都練馬区での洗濯実験をまとめていますのでよろしければこちらをご参考ください。

7.乾燥完了 

わたが偏っているようなら、優しくぽんぽんたたいて形を整えましょう。

2.パイル生地の糸が飛び出してしまったら

◆パイル生地ってどんな素材?

ぬくぐるみ工房のぬいぐるみは
パイルの産地、愛媛県今治で丁寧に織られた両面パイル生地を使用して制作しています。

このパイル生地、とてもふんわりして柔らかく気持ちの良い質感が特徴です。
どうして気持ちが良いのでしょうか?

それはパイル生地の組織に理由があります。

図A:両面パイル生地の断面図
図B:図Aの断面図を上から見た時の図解

当工房の両面パイルは、たてパイル織り。土台となる地の平織部分のたて糸とよこ糸に、パイル用のたて糸を加えて、わっか状に丸く波打つように織ったものです。
地のたて糸2本、パイル用のたて糸2本、地のよこ糸3本で、表裏1つのわっかを作っています。
工房ではそのわっかをそのままループ状に残したループパイル生地を使用してぬいぐるみを作っています。
このわっかが弾力を生み出して柔らかく気持ちの良い肌ざわりを生み出しています。通気性や吸水性がよいことからタオルによく使われています。

◆パイルの糸の飛び出しについて

ですが、気持ちの良い反面、どうしてもこのわっか部分はひっかかりやすくなっていますので、
触っていて爪などにひっかかると糸がぴろーっと飛び出してきてしまう場合があります。(この現象をパイル糸抜けと言います。)
わっかが出ていますので、構造上どうしてもこのパイル糸抜けは避けられません。

一番簡単にできる対処方法は「飛び出した糸をハサミで切る」という方法です。それから少し難しいですが「飛び出した糸を元に戻す」という方法もあります。
パイル糸抜けの状態のまま放置してしまうと、ほつれて飛び出した部分がさらに何かにひっかかりやすくなり、パイル糸抜けがもっと進んでしまう可能性があります。
その為、見つけたらなるべく早めに対処するのがお勧めです。

◆パイル糸の切り方

ひっかけてしまうとそのままするすると抜けて糸が飛び出します。そのまま放置してしまうと、さらに引っ掛けてしまい、どんどん糸がのびてしまうので要注意。
わっか状の糸を切るので、タオルの地の平織部分が見える状態にはなりますが、抜けている糸が短ければ短いほど、跡が目立ちません。

ぴろっと飛び出してしまったパイル糸を上にもちあげて

まわりのパイルの高さに合わせて、はさみで切ります。根元で切るより目立ちません。

※ニット地(編地)と違い、パイル生地は平織で織った、「織り物」ですので、これ以上ほつれることはありません。
※ぬいぐるみチャームはニット地のパイル編み生地ですので、絶対に切らないようにご注意ください。

■パイル糸を切りたくないという方向け

ぬいぐるみにハサミを入れたくない、という方は飛び出したパイル糸を目打ちを使って元に戻す方法もあります。
間違えて他の糸をひっぱってしまったり、かえって糸がもっと飛び出してしまったりする可能性もありとても難しいですので、
ご注意の上やられてくださいませ。

上記でパイル生地の構造を説明しましたが、もう少し実際の生地を見てみましょう。

パイル生地を小さくカットして、見やすいようにたて糸を何本か抜いた布地を顕微鏡で見てみます。右端のパイル糸は構造を見やすいように右側に倒しています。

4種類たて糸があるのがわかりますね。
このように、たて糸がたくさんあるので間違えないように注意しながら、どのパイルたて糸が飛び出しているのかを見つけて、たての地の目に合わせてわっかを少しずつ目打ちで均等に戻していき修正します。

用意するものは目打ちです。お持ちでない方はこちらからもご購入できます。
すべてが白色の糸だと、少々わかりづらいので、ジャカード織のタオルを使って説明します。

茶色部分のパイル糸が飛び出しています。近づいてみてみると、このタオルは土台の平織部分のたて糸とよこ糸が白色、パイルたて糸がオレンジと茶色であることがわかります。

飛び出している茶色の糸がどの部分からほつれているかを見つけて、
目打ちで元に戻るように少しずつ引っ張って戻します。
まずは上から。

下からもほつれているので、こちらも同じように少しずつ戻します。

パイル糸が均等に出るように調整したら完成です。

なお、タオルでしたら縦方向がわかりやすいので間違いづらいですが、 ぬいぐるみは高さ方向だけに地の目(布地の縦方向のこと)を通しているわけではなく、顔や腕などそれぞれのパーツごとに地の目が異なります。
パイル糸を引っ張る方向にご注意ください。

■使うごとにだんだん風合いが変わっていきます。

新品のぬいぐるみは水通ししておらずパイル生地もふわふわ。
その分、乾燥してかさかさした肌や鋭い爪など、ひっかかるものがあるとひっかかりやすいのですが、
水に通したり、空気中の湿気を吸ったりして吸水を繰り返すごとに、地の平織部分の糸が膨潤(※注1)して目が詰まってきたり、
最初はぱらぱらとした細い糸のパイルのわっかたちが、膨潤したりいくつか糸束がまとまったりしながら風合いが変わっていき、
使っていくごとにだんだんひっかかりづらくなっていきます。
※注1:綿には水分を吸収する時に膨潤して、その後乾燥する時に収縮する性質があります。

なお、洗濯の際は柔軟剤の使用を控えた方が良いでしょう。
柔軟剤は繊維一本一本の周りをぐるっと界面活性剤がコーティングし、生地を柔らかくはしますが、
吸水性が落ち糸の抵抗力が弱まってしまうため、かえってするすると糸抜けを引き起こしてしまう可能性があります。
パイルの糸抜けが気になる方は柔軟剤は使わず、洗剤のみで洗うようにすることをお勧めいたします。

ぬくぐるみ工房では皆様ににこにこ笑顔になっていただけますようにと願いを込めてぬいぐるみを一つ一つ丁寧にお作りしております。
ぬくぐるみ工房のこだわりについてまとめましたページも是非合わせてご覧ください。
ぬくぐるみ工房のこだわりページはこちら